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小橋重信コラム『便利なだけの物流からの脱却』(第1回)

小橋重信コラム『便利なだけの物流からの脱却』(第1回)

便利なだけの物流からの脱却

初めまして、物流コンサルタントの小橋です。このコラムは物流の大切さを少しでも多くの方にお伝えしたくて、連載をスタートいたしました。

ここ数年で物流のあり方が大きく変わってきました。特に、流通におけるアマゾンの影響は大きく、シェアリングサービスや、サブスクリプションなどのこれまでにないビジネス業態も生まれて、その変化は、ますます加速していきます。

その変化にいち早く気づき、自社のビジネスを物流から見直さないと手遅れになってしまいます。そこで、この連載のタイトルは「 攻めの物流 守りの物流」。サブタイトルは「物流が企業価値を決める」としました。

現場視点での物流改善

物流が事業戦略において、極めて重要になると断言いたしましたが、自分は物流現場上がりの人間。コンサルタントとして物流課題を瞬く間に改善してきたわけではないです。どちらかと言うと失敗経験の方が多いです。ですが、そんな私だからできること。失敗経験から学んだことを、なるべくわかりやすくお伝えできればと思っています。特に中小企業の経営者や物流責任者の方々に向けて、明日にでも役立つ情報として書かせていただきます。

さて、本題の『攻めの物流、守りの物流』の前に、自分の失敗談として、「便利な物流」と「必要とされる物流」について書かせていただきます。過去の経験ですが、物流会社の営業責任者だった時、営業ではお客様のニーズには応えられない、営業がどんなにかっこいい提案をしても、それを実際に運用するのは現場なのではとの思いから、センター長を自ら志願してやりました。

実際には苦労の連続でした。荷主企業の困りごとや、要望事項まで、お客様の物流課題が解決するならと、様々な取り組みを積極的に実施しました

現場改善はもちろんのこと、ジュエリー企業のお客様向けに、店頭持ち込みの修理品を物流倉庫でリペアするための修理職人の採用や、高額な修理機器の導入など、思いつくものはすべてやりました。

その結果、物流センターが見学コースとして紹介されるなど、まわりの評価はまずまずでした。

そんなある日、お客様から「解約」の話が。こちらとしては、喜んでもらっているはずだと思っていましたので、突然の申し出に、頭の中が真っ白になりました。

解約の理由、それは「コスト」でした。
それも、お客様の業績悪化によるコスト削減が原因でした。

お客様から頂いた最後の一言は「とてもよくやってくれて、感謝しています」でした。

失敗からの気づき

失敗からの気付き

物流会社にとってお客様の解約は、規模によってはスタッフのリストラを意味します。私自身、前職のアパレル時代で倒産を経験し、いつも頑張ってくれていた販売員スタッフに、最後は何もしてあげられなかった苦い経験をしています。「ここでもまた味わうのか」人生で2度目の辛い瞬間でした

そして、この時、私は気づきました。自分たちがお客様に提供していたサービスは「便利なサービス」であって、「必要とされるサービス」ではなかったのだと。

では、「必要とされるサービス」とは何でしょうか?

それは、お客様の売上やブランド価値の向上に貢献するサービスであり、さらには、お客様(荷主)のその先のお客様(消費者)に喜ばれるサービスではないでしょうか。

修理や検品、撮影やラッピング包装、さらには保税通関サービスなど、様々な取り組みを行ってきましたが、そのサービスがお客様(消費者)の顧客満足につながっていなければ、物流においては高コストとなり、意味がないことだと痛感しました。

必要とされる物流を目指して

必要とされる物流を目指して

お客様(荷主)が一番に望んでいるものは、「コスト削減」です。しかし、物流会社にとって、コストを下げる=物流会社の売上減であり、自分たちのクビを絞めることになり、ビジネスとしては成立しません。

そこで、もうひとつ重要なことは、「物流コスト」が高くなるのも、安くなるのも、お客様(荷主)次第であるということです。

その理由として、物流費は大きくは3つに分けられます。「スペース費」「荷役費」「配送費」。この3つが物流費を占めます。

「スペース費」は商品保管にかかる費用です。無駄に大量に商品を作らなければ、スペースにかかる費用は削減できます。
「配送費」は、物量とデリバリーの計画を組む場合など、一部物流サイドで決定することがありますが、ファッション業界をはじめ、主に荷主の都合で決まります。

「荷役費」は倉庫の中で働く人の人件費が作業単価となって請求されるので、作業の有無を含め、内容については荷主の要望にあわせて行います。

現実的に現場で働いていると、「なぜこんな無駄なことをやっているのか?」「この作業って何のためにやっているのか?」と思うことがあります。これまで物流会社はお客様(荷主)の言うことは絶対だと反論を許されなかった、もっと言うと、言われることだけやっていれば、波風は立たないなどの悪しき慣習もあったかと思います。

 

要は、物流費を下げるには、物流倉庫の中だけでは決まらない、むしろ物流倉庫の外で決まっていることが多い、それなのに荷主は倉庫の中だけで物流コストを見比べようとしていると感じました。

誤解のないように補足すると物流における「カイゼン」は、これまで日本のお家芸として進めてきた立派なものですが、そこにも限界がきています。

もう少しわかりやすく言葉を選べば、「物流コスト」を安くしたければ、物流倉庫を変えてもダメで、そもそも自分たちのビジネスモデルにあった物流はどうあるべきか、その時の掛けるべきコスト・物量・業務フローなど、根本から見直さない限り、物流倉庫を変えても結果は同じであるということです。

先ほど、「便利な物流」と「必要とされる物流」のお話をしましたが、必要とされる物流とは、友達関係でいうところの「親友」であり、時には友人に対しても嫌なことをきちんと伝えらえる存在でなければなりません。その企業にとって物流がどうあるべきか、『物流視点』から的確なアドバイスできる存在でありたいと考えています。

 

ここまで長々とお話しましたが、私の考え、思いは伝わっているでしょうか。過去の失敗経験から、便利な関係ではなく、親友としてその企業の物流戦略がどうあるべきかを伝えられる存在になりたいと思っています。時には耳の痛い話でも、これからの事業においては物流戦略を見誤ると取り返しのつかないことになると感じています。

市場が伸びている時、作れば売れた時代は、物流は、「早く」「正確に」「安く」デリバリーするだけが問われました。市場が縮小し、ニーズが多様化し、テクノロジーによって物流もどんどん複雑になっています。その時に物流は極めて重要になってきますが、それでもこれまでと同じ、見積りだけで物流倉庫を比較して決めていていいのでしょうか?

次回以降では、物流の重要性を市場の変化とあわせて、物流の変遷などについてもお話できればと思います。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

株式会社リンクス 代表取締役
小橋 重信 氏プロフィール

アパレル会社での在職中に上場から倒産までを経験、在庫が滞留することの怖さを知る。その後の物流会社にて多くの荷主の物流の導入から課題解決を進める。IT企業での実務経験も経て、ファッション業界を知り、物流会社の経験を活かした現場視点での課題解決。現在は「ファッション×IT×物流」の分野で物流コンサルとして活動中。

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