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『オムニチャネルにおける商品と物流』 逸見光次郎コラム(第2回)

『オムニチャネルにおける商品と物流』 逸見光次郎コラム(第2回)

逸見光次郎コラム「オムニチャネルと物流」(全6回)

前回、オムニチャネルの全体的な定義については触れた。今回からはより詳細なテーマを掘り下げて、物流起点でのオムニチャネル実現について理解を深めていただきたい。

今回は商売の基本、商品と物流について。

オムニチャネル時代の商品の流れ

そもそもネットも通販もない時代は、商品は物理的に目の前に存在しており、その数も形状も、データ化する必要はなかった。ところが現在では、倉庫にある商品在庫、店舗にある商品在庫を目の前の顧客に販売しても良いのか、データを確認しなければならない時もある。

だからこそ、オムニチャネル化している今の商売では、商品と物流をきちんと管理する事がとても重要になってきているのだ。

ネットが登場し始めた頃は、商品情報がネットに掲載されていて検索でき、自分が知らない様々な商品に出会える事が価値だった。しかし今では、その商品がどこに行けば買えるのか、それともネット経由で買えるのか、在庫はどのくらいあるのか、いま在庫がなければ再生産はされるのか、されるならそれはいつで、いつ頃買う事ができるのか。
一方、新品で入手できないのであれば、中古市場にはあるのか、個人の出品はあるのか・・・となっている。つまり情報を見た消費者は情報だけで満足することはなく、今買えるのか買えないのか、取寄せ注文はできるのか、いつ届くのか、と商品在庫を確認して、手元に入手するまでの情報を求めているのだ。

小売流通の商品の流れ
オムニチャネル時代の商品の流れ

オムニチャネル時代の商品マスターと在庫マスター

いつも商品マスターの話をする時には、基本は「単品管理ができている事」と定義する。つまり“商品コードに紐づく各種情報“が商品マスターに登録され、“その商品がどこにどれだけあるのか、またそもそもその商品は廃番になっていないか”が在庫マスターに登録され、取引先マスターや販売管理マスターや発注管理マスターと連携していて、一つ一つの商品が的確に探せる、もしくは取寄せ発注できて、メーカーからの納期が分かる状態である。

そしてその商品が社内にあるなら、店舗であろうとEC倉庫であろうと、必要な場所に振替できる伝票処理ルールと、商品を受け渡す方法が決まっていなければ、必要とする顧客に届ける事はできず、売上も利益もカウントできない。支店間を走るトラック便に載せるのか、その便に預けたらいつ着くのか、郵便や宅配便で発送するのか、その送料はどこが持つのか。そしてその売上利益は誰に付くのか、商品を提供した側には評価は付くのか。こうした作業ルールと評価ルールをきちんと取り決めず、個店売上を重要評価指標としていたら、誰も売れ筋商品を他店に振り替えたがる筈はなく、顧客は社内に商品があるのにわざわざその店まで取りに行くか、もしくは買えないという本末転倒な事が発生する。作業ルールは総務と営業で、評価ルールは経営と営業できちんと決めて、そのルールに基づいてITと経理が業務インフラを構築するのである。

もしメーカーに取寄せ発注するなら、FAXでもEDI(電子受発注)でも構わないが、メーカー出荷日の回答をきちんと受領して、発注管理マスターに反映する必要がある。その情報は顧客から受注した店舗であれば店コンピュータもしくはPOSから確認できて店が顧客に納期見込を伝えられるようにしなければならないし、ECであれば納期見込をマイページ(注文履歴)に反映したり、メールで案内できなければならない。その時に注意するのがメーカー出荷日をYYMMDD(年月日)の日付データで受領する事だ。よくあるのが6月上旬出荷、6月10日頃出荷、のように実日付ではない情報でメーカー倉庫が管理している事がある。筆者の今までの経験では、各メーカーとも実日付はちゃんと持っており、今まで正確な日付を流通側が必要としなかったから提供していなかった、という実態が多かったので、上旬中旬下旬や何日頃という回答が来ていたら、実日付での回答に切り替えてもらえれば良い。

可能なら後日、その取寄せ商品が入荷したかしなかったかに基づき、廃番ステータスを更新しておくと、より正確な情報を顧客に案内する事ができる。月に1回か2週に1回、こうした作業時間を取る事で対応できる。こうしたメーカー側との日々のデータ共有の中で、受発注だけではなく、販売/在庫情報も共有するようになると、直近1~2週間分の自社に必要な商品在庫量をメーカー側でも予測できるようになる。その事によりお互い欠品も過剰在庫も減少し、効率良く流通を行う事ができるようになるのだ。その話は最終回の中で触れようと思う。

マスターデータベース

物流部隊と商品部隊が共有すべき指標

最後に物流部隊と商品部隊が共有すべき指標について触れたい。
一般的に物流部隊はコストセンターとみられ、家賃・自社人件費のような固定費と、外部倉庫内作業者費用(もしくは検品/入庫/ピッキング/梱包/出荷作業コスト)・資材費・送料のような変動費といった各固定費の予算で運営される事が多い。しかしながらその費用はコントロールできないものが多く、それこそ商品SKU数が増えるほど、1SKUあたりの在庫数が増えるほど、入庫/出荷が増えるほど、費用は増えていく。

一方で商品部隊は売上金額UP・粗利金額UP・仕入原価(率)DOWNが主な予算となっていて、費用は自部隊の人件費と交通費、全社配賦費くらいしか見ていない。売上が伸びれば伸びるほど、物流の作業コストと送料は増える。変動費だからである。
売上を伸ばすために、まとめて仕入れて仕入原価を下げるために、物流には膨大な商品在庫が積まれていくが、物流部隊も商品部隊も利益面でのコントロールができなくなっており、財務諸表のBS内の在庫有高が増えたり、現金が商品化する事でキャッシュフローが悪くなったりした時点でようやく決算書から経営のアラートがあがるのだ。

以前いた会社で、在庫回転率と営業利益額(営業外収支が少なければ経常利益でも良い)を指標として物流をコントロールした事がある。商品部隊にはパレット1枚当たりの月家賃(パレット1枚で半坪を占める)を説明し、その上に載っている商品の滞留月数を共有し、まとめて仕入れた事による原価低減額&リベートと、パレット一枚家賃×月数のコストを一緒に比較した。
その結果、原価低減とリベートのプラスより、家賃のマイナスの方が大きい商品がだんだんと判明してきた。バイヤーたちは1回の発注単位(数)を減らすと言ってくれたが、実はそうではなく、発注単位はメーカーとの交渉の中で数か月になっても構わず、肝心なのは発注分をまとめて入れず、小ロットで2週間に一度の納品(分納)としていく事だった。倉庫にとっては入庫作業のピークが分散し、庫内在庫が減り、通路平積みパレットが減り、それに伴い出荷作業含めて効率よく作業ができてコストが下がるのだ。

一方でバイヤーたちはこまめな在庫調整ができて売れ筋商品が置きやすくなり、庫内在庫が減る事で、滞留品(当時のルールは90日に一度も出荷されなかった商品)も早く見える化されてすぐに処分対応できるようになった。結果として倉庫からの出荷数は増え、庫内在庫の出荷率も上がり、在庫金額は減ったのである。バイヤーに物流コストを見える化し、一緒に在庫回転率を上げる事が営業利益の最大化になり、誰もが評価されるという指標の共通部分を作っていく事がとても重要なのだ。

 

次回以降「販促・CSと物流」「WEB・ITと物流」「経営戦略と物流」「今後のオムニチャネルと物流」というテーマでより深く解説させていただきたい。

 

逸見光次郎コラム「オムニチャネルと物流」(全6回)

オムニチャネルコンサルタント
逸見 光次郎 氏プロフィール

1970年生まれ。1994年、三省堂書店入社。1999年、ソフトバンク入社。イー・ショッピング・ブックス立ち上げに参画。2006年、アマゾンジャパン入社。2007年、イオン入社。ネットスーパー事業の立ち上げと、イオングループのネット戦略構築を行う。2011年、キタムラ入社。EC推進本部副部長、ピクチャリングオンライン代表取締役会長(2012年9月にキタムラ統合)、執行役員EC事業部長、執行役員オムニチャネル(人間力EC)推進担当。2017年、個人事業主としてオムニチャネルコンサルタント活動を始める。同年、ローソン入社。マーケティング本部本部長補佐、同年退社し、コンサル契約に移行しローソン銀行立ち上げに関わる。2018年に千趣会執行役員マーケティング副本部長に就任。現在は、フリーのコンサルタントとして流通業界のオムニチャネル化のための講演活動や複数の流通事業会社のオムニチャネル化を支援中。

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